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戯れ言、妄言、独り言。

ITとクリエイティブ2

ITシステム開発の現場がクリエイティブでないという理由を、うまく整理して書こうかとも思ったのですが整理しようとしても複数の要素が絡み合ってる気がしたので、諦めて思い付くままに書きたいと思います。

やっぱり大きいのは、この業界に何十年も続いている悪しき慣習でもある、人足商売ではないでしょうか。

人足商売の何が悪いのか。

システムは完成された製品と違って、ほとんどがオーダーメイドもしくはカスタムメイド、要求された機能に対してこんなシステムを作るからいくらですよという感じで価格が決まります。

そこにはシステムに必要なハードウェアやソフトウェア、エンジニアの人件費の上に利益が含まれます。さらには、こんな便利な機能がプラスで作れるよとか、ベンダーの創意工夫でこんなに短期で作れるよとか、そういう話が付加価値としてプラスされて価格が決定され、それ以外の要素は必要無いはずです。

ところが作るためにいくらの単価の要員が何ヵ月働いて作るよ、なんてのがユーザーの価格に対する評価材料になってしまえば、短期で作るための工夫もベンダーにとっては逆に損するだけになるし、単価が低い=技術レベルが低い要員を使うことが良いことになってしまいます。

話を続ける前に、我々の契約形態について補足しておきます。契約には大きく2種類あります。

1つは委任契約。これはユーザーの指揮下で指示に従って仕事をする契約。何を作るかはユーザーが考えることで、これなら基本的にユーザーの手足になれば良いので多少技術がなくても単価が安い人を使おうと思うのは当然の流れです。

もう1つは請負契約。こっちはこんなものを作るからいくら下さいねという契約。前述した付加価値はこっちの場合になります。ベンダーは作ったものに責任が発生するので、作ったあとは保証期間があり、問題があれば無償で対応する必要があったりします。(その分の追加費用も見積りには含めるのだけど)

委任だと、場合によってはユーザーのオフィスに常駐なんてこともあって、拘束時間が長くなって見積りも高くなりがちです。

そうすると同じ内容なら請負で丸投げした方が責任もないし、価格も安くなるという発想がユーザーに出てきます。

結果、請負での発注にも関わらず、工数の提示をベンダーに求めるという愚行が発生します。

本来なら請負で工数なんか提示する必要も無いのですが、ユーザーの方が立場が強いから要求されれば出さざるを得ないし、ユーザーにシステムをちゃんと評価する基準が無いもんだから、工数出させて終いには単価が高いと値切りにくるという恐ろしい状況が発生する事もあります。

他にも、ネットによる技術のコモディティ化も人足商売に拍車をかけている一因になってると思います。

デファクトな製品や技術なら、技術者も多くなり誰がやってもさほど変わらない上に価格競争で単価も安くなる。結果、ますますデファクトなものが使われるようになります。

他との差別化もしにくくなるし、ネットで技術情報も簡単に見れるようになるから、ユーザーも見積りに対してあーだのこーだのと言いやすくなったりします。

コモディティ化は決して悪いことでは無いはずなのですが、そんなこんなで、エンジニアは自由を奪われクリエイティブとほ程遠い、IT土方が出来上がっていく訳です。

そんな状況が、もう何十年と変わらずに常態化しています。

まだ思うところはありますが、またの機会に書きたいと思います。